低温調理で厚み5cmを超える肉はどうする?6cmの塊を自動計算しない理由
立派な塊肉を買ってきて、一番厚いところを測ったら5.7cm。ところが低温調理ナビは5.0cmまでしか入力できません。これは「5cmより厚い肉は調理できない」という意味ではなく、簡易計算を条件の外まで勝手に延ばさないための上限です。
厚みが増えるほど、中心までの時間は素直な足し算では増えない
低温調理ナビの加熱到達時間は、厚みごとの公開資料を基礎に0.5〜5.0cmの範囲で扱っています。5cmの時間に「1cm分を足せば6cm」といった単純な外挿はしていません。
厚い肉ほど外側と中心の距離が長くなり、形の影響も大きくなります。対応範囲を明示した方が、数字だけは出るけれど根拠が弱い計算より安全です。
食品安全委員会の実験でも、3cmと6cmで中心到達に大きな差がある
食品安全委員会が紹介する牛ももの実験では、70℃で加熱した場合、約300g・厚さ約3cmの肉は中心が70℃へ達するまで約100分、約760g・厚さ約6cmでは約180分かかった例が示されています。
| 実験例 | 70℃への中心到達 |
|---|---|
| 牛もも 約300g・厚さ約3cm | 約100分 |
| 牛もも 約760g・厚さ約6cm | 約180分 |
これは特定条件の実験例です。「6cmの肉は180分」と覚えるための表ではありません。肉の種類、形、初期温度、機器などが違えば中心温度の上がり方も変わります。
5.2cmを「まあ5cm」で入れない
低温調理ナビは入力値を薄い側に丸めない考え方を取っています。3.2cmなら3.5cm側で考えますし、5cmを超えたら自動計算の範囲外です。
5.2cmを5cmとして計算すると、わずかな差に見えても「実際より薄い肉」として扱うことになります。上限を超えたときは数字を作らず、芯温計で中心を確認する方へ切り替えます。
厚い塊ほど、芯温計の価値が上がる
5cm超の肉は、表面を見ても中心がどこまで温まったか分かりません。湯温が設定どおりでも、中心が同じ温度になっているとは限りません。
食品安全委員会も低温調理では中心温度計などを使い、温度と時間を管理するよう案内しています。大きな塊肉を頻繁に扱うなら、時間表を増やすより、中心温度を測れる環境を用意する方が応用が利きます。
薄い肉を重ねて「一つの塊」にしない
2.5cmの肉を2枚重ねれば合計5cmに見えますが、接触面や空気、袋の形で熱の伝わり方が変わります。複数枚を低温調理するときは、基本的に重ねず、食材の周囲へ湯が回るように並べてください。
同じ湯で複数品を作るなら、重ねるのではなく袋を分け、同時調理の段取りで開始時刻を調整する方が分かりやすくなります。
5cmを超えたときの判断
6cmの肉は低温調理できない?
できないという意味ではありません。このサイトの簡易自動計算が5cmまでという意味です。
6cmなら180分?
固定時間ではありません。約180分は食品安全委員会の特定条件での牛もも実験例です。
5.2cmなら5cmで計算していい?
薄い側へ丸めないでください。5cmを超える場合は自動計算範囲外として扱います。
2枚重ねて合計5cmなら?
重ねず、それぞれの周りに湯が循環するようにしてください。
5cm以下なら芯温計はいらない?
計算は目安です。安全を重視する場合や機器差が気になる場合は芯温計で確認する方が確実です。
参考資料
5cmを超えたら、無理に数字を伸ばさず測り方を変える
厚み表の外へ単純に外挿する代わりに、中心温度を実測しながら、近い食材記事で仕上がりの考え方を確認します。