低温調理ナビ厚みで計算する
ROAST BEEF GUIDE

ローストビーフの低温調理は何℃で何分?厚み別に考える牛もも肉の温度と時間

ローストビーフは「57℃で何分」「58℃なら2時間」「60℃なら?」と検索しても、いろいろな答えが出てきます。大切なのは、温度だけでなく肉の厚みを見ること。そして、やわらかく仕上げるための温度と、食品安全のための加熱条件を同じものとして扱わないことです。

BASICS

何℃で何分?まず「中心が温まる時間」と「保持時間」を分ける

低温調理器の湯が設定温度になっていても、冷蔵庫から出した牛肉の中心がすぐ同じ温度になるわけではありません。熱は外側から中心へ伝わるため、厚い肉ほど中心が温まるまで長い時間が必要です。

  1. 冷蔵の牛もも肉を設定温度の湯へ入れる
  2. 外側から中心へ熱が伝わる
  3. 中心が目標温度へ到達する
  4. 必要な場合は、その中心温度を一定時間維持する

つまり「58℃で2時間」のような数字だけではなく、中心温度へ到達する時間と、その後の保持時間を分けて考える必要があります。

OFFICIAL SAFETY INFORMATION

厚さ約3cmの牛もも肉を63℃で加熱した公的な実験例

食品安全委員会は、約300g・厚さ約3cmの牛ももブロックを低温調理器で加熱した実験例を公開しています。63℃の湯に入れた場合、肉内部の最も低い温度が63℃まで上がるのに約94分かかりました。

さらに、家庭で一般に入手する牛肉については、中心が63℃に達してから30分以上の加熱を行う条件を案内しています。この実験例では、中心が温まる時間と保持時間を合わせて、約130分を要することになります。

実験条件
牛ももブロック 約300g・厚さ約3cm・湯温63℃
肉内部の最低温度が63℃に達するまで
約94分
中心63℃到達後の保持
さらに30分以上
この実験例の合計
約130分

これは特定条件での実験例です。「3cmなら必ず130分」「300gなら130分」と固定時間にするための数字ではありません。形・厚み・初期温度・機器などで中心温度の上がり方は変わります。

食品安全委員会は、低温調理では中心温度計などを使って、肉の中心温度と時間を管理するよう案内しています。

出典:食品安全委員会「肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!」

58℃ / 28 MINUTES

「58℃・28分」を家庭のローストビーフにそのまま使わない

ローストビーフを調べると「中心58℃で28分」という数字を見かけることがあります。これは根拠のない数字ではありませんが、前提条件があります。

食品安全委員会によると、事業者が製造販売する特定加熱食肉製品には、特別な条件で厳密に管理された原料食肉を使用することを前提とした規格があります。その中に、中心58℃へ到達後28分という条件があります。

一般に家庭や飲食店で入手する牛肉へ、そのまま適用する条件ではありません。食品安全委員会は2024年の更新でこの違いを明確にし、一般に家庭で入手可能な牛肉では中心63℃・30分、またはこれと同等以上の効力を有する方法が必要と説明しています。

ですから、「58℃で28分」という数字だけを切り取って、家庭のローストビーフの安全時間として扱わないことが重要です。

THICKNESS

3cmと6cmでは、中心まで温まる時間が大きく違う

食品安全委員会は、牛もも肉を70℃で加熱したときの大きさによる違いも示しています。

約300g・11×9cm・厚さ3cm
中心70℃まで約100分
約760g・18×9cm・厚さ6cm
中心70℃まで約180分

厚みが2倍になると、単純に時間も2倍になるという意味ではありません。それでも、厚みが中心までの加熱時間に大きく影響することは分かります。

「ローストビーフなら100分」と覚えない。食品安全委員会も、重量や厚みを考慮して加熱時間を設定し、肉が大きい場合には中心温度を確認することが大切だと説明しています。

2cm3cm4cm5cm

低温調理ナビでは、一番厚い部分を入力して計算します。5cmを超える塊肉は計算対象外とし、芯温計での確認を優先します。

TASTE / SAFETY

57℃・58℃・60℃の「おいしさ」と、公的な安全条件は分けて考える

料理としてのおいしさ・食感

ローストビーフでは、メーカー公式や料理情報で57〜60℃付近の実践例が見られます。低温側は赤みとやわらかさを残しやすく、温度を上げるほど火入れ感が強くなります。

低温調理ナビの牛もも肉の「おすすめ」は57.5℃ですが、これは複数の料理情報を照合したおいしさ側の編集提案です。

公的な安全情報

料理として好まれる低温帯と、家庭で一般に入手する牛肉に対して食品安全委員会が示している加熱条件は別の情報です。低温調理ナビでは、両者を一つの「安全なおすすめ温度」として混ぜません。

安全を確認するときは、色や肉汁ではなく、中心温度と時間を確認してください。

HOW TO COOK

ローストビーフの基本の作り方

  1. 牛もも肉の水気を拭き、一番厚い部分を測ります。
  2. 塩・こしょうを全体になじませます。
  3. 耐熱袋に入れて空気を抜き、肉の周囲に湯が循環する状態にします。
  4. 本体計算機で表示された温度・時間を確認して低温調理します。
  5. 袋から出したら表面の水気をしっかり拭き、十分に熱したフライパンで全面を短時間ずつ焼きます。
  6. 少し落ち着かせてから、繊維を断つ向きで薄く切ります。

記事本文に固定の「57.5℃で○時間」というレシピを置かないのは、同じ牛もも肉でも厚みや状態によって必要時間が変わるためです。

FAQ

ローストビーフの低温調理でよくある質問

ローストビーフは58℃で2時間なら大丈夫?

一律に大丈夫とはいえません。食品安全委員会が説明する58℃・28分は、事業者向けの特定加熱食肉製品として特別な条件で厳密に管理された原料食肉が前提です。一般に家庭で入手する牛肉へ、その条件をそのまま当てはめることはできません。

ローストビーフは60℃で2時間なら大丈夫?

厚みや形、初期温度、機器によって中心が温まるまでの時間が変わるため、温度と総時間だけで一律には判断できません。厚みを確認し、中心温度と保持時間を分けて考えてください。

57℃と60℃ならどちらがいい?

料理としては、低い温度ほど赤みとやわらかさを残しやすく、高い温度ほど火入れ感が強くなります。ただし、おいしさの温度選びと公的な安全条件は別の話です。低温調理ナビでは両者を分けて表示します。

牛もも肉が300gなら何分?重さと厚みのどちらを見る?

重さだけで固定時間を決めず、一番厚い部分を確認してください。食品安全委員会の70℃加熱実験でも、厚さ3cmと6cmでは中心温度への到達時間に大きな差が出ています。

ローストビーフの中がピンクなら加熱不足?

色だけでは判断できません。食品安全委員会は、牛もも肉でも外観から安全な加熱ができたか判断できないと説明しています。芯温計で中心温度を確認してください。

SOURCES

参考資料